ベンチャー企業の魅力、勘違いしてない? 裁量権、成長スピード、高年収… ありがちキーワードを徹底検証

新アド事務局

コラム

大手志向の学生さんが一定数いる中、ベンチャー企業を志望する学生さんも年々増加傾向にあります。でもその志望理由を聞くと、意外と多いんです、企業の魅力を「勘違い」してしまっている学生さんが。では一体何が「勘違い」なのか。今回は、ベンチャー企業を選ぶ際に押さえておくべきポイントを解説します。ベンチャー企業を志望している方は、ぜひご自身の今の状況を振り返りながら読んでみてくださいね。

 

<解説者>
新アド代表 飯田賢平(いいだ・けんぺい)

 

 

【勘違い1】 裁量権&成長スピード編
ベンチャー企業の“当たり前”を“魅力”と思ってはいけない!

まず、ベンチャー企業に行きたい! と意気込んでいる学生の皆さまに質問です。あなたがベンチャー企業を志望する理由は何ですか。

企業を選ぶ理由でよく聞くのが、「入社してすぐに仕事を任せてもらえる」とか「会社自体が急成長している」というもの。さて、「私もそう思っている」という人、けっこう多いのではないでしょうか。

さっそくですが、まずここに大きな落とし穴があります。

大手企業とベンチャー企業における、“新人に与えられる裁量権の違い”について見てみましょう。そもそも、大手企業とベンチャー企業では、仕事の規模や金額が違います。大手企業は、常に莫大な金額が動く分、失敗した際の損害も大きい。ですから、“入社したての新卒社員に仕事の全てを任せる”なんていう冒険はできません。

しかしベンチャー企業は、大手企業に比べると仕事の規模が小さいので、新卒社員にも任せられる仕事がたくさんあります。だからベンチャー企業の方が大手企業よりも「裁量権を持たせてもらえる」のは当たり前のことなのです。

それから「急成長している」という点について。ベンチャー企業は、成長し続けていなければ会社を保つことができません。だから成長していて当たり前なのです。さらに「新規事業ができる」という謳い文句にも注意が必要。ベンチャー企業が成長し続けるためは、「新規事業」を積極的に行わざるを得ません。

つまり、一見魅力的に見えるこれらの謳い文句は、ベンチャー企業であればどの企業にも当てはまること。ベンチャー企業の説明会に参加して、こうした点に魅力を感じたという方、ちょっと業界研究が足りていないかもしれませんよ。

 

【勘違い2】 初任給編
「初任給が高い=3年後の年収が高い」とは限らない!

「うちに来たらこんなに稼げるよ」と、やたらと高収入をアピールする企業もあります。そのような企業は、離職率に着目してください。離職率が高いということは、それだけ仕事が厳しいということです。高収入の企業は、コミッション制(歩合制)であるケースが多く、とにかく高いレベルの結果を求められます。そして結果が続かなくなると、当然辛くなります。

もちろん、こうした企業が“良くない”ということではありません。「とにかく稼ぐ」ことが目標なのであればむしろ合っています。ただしそれでも、「その企業で何が身につくのか」は知っておくべきです。コミッション制(歩合制)という環境で働くことに疲弊し、いずれ転職を考えるようになるかもしれません。そして転職を考慮したとき、他社でも通用する「コアスキル」を身につけていないと、同額の給与で転職できる可能性は限りなく低くなります。

それから、「初任給が高い」というメリットにも気をつけてください。通常、初任給の相場は20万円前後。それに対し、ときどき「初任給30万円!」などと、通常より高い金額を掲げる企業があります。しかしこの情報に踊らされてはいけません。見るべきポイントは、

①    年収も高いか
②    入社3年目以上の人の年収

まず①ですが、賞与の有無で年収は大きく変わります。初任給は少なくても賞与が確実にもらえるため年収で換算すると高くなる、という企業もたくさんあります。②に関しては、たとえ初任給が多くてもその後の昇給額が極端に少ない、という可能性もあります。入社数年後に後悔しないように、入社前にしっかり見極めることが大切です。

 

 

 

【勘違い3】 憧れの社員編
 “あの人と働きたい”は危険、 憧れの社員は退職済みの可能性大!

もうひとつ、企業を選ぶ理由としてよく聞くのが「就職活動中、もしくはインターン中に出会った魅力的な社員と一緒に働きたい」という理由。

しかし、ベンチャーの場合、この理由で入社するのは少々危険です。よくあるのが、憧れだった社員が、いざ自分が入社をしたらすでに退職していた、というケース。大手企業と比べると、ベンチャー企業の社員は、自身のスキルアップのため、もしくは独立するために転職をする可能性が高いのです。ですから、社内の雰囲気を掴む、社員のモチベーションを知る上で「人」を見るのは良いですが、社員一個人への依存は避けたほうが良いでしょう。

また、「説明会に参加したらイケてる人が働いていたから自分もその環境で働きたい」という意見もありがちです。ここで言う「イケてる」というのは、「イキイキと働いている」「外見も仕事内容もかっこよく見える」ということだと思いますが、ここで気をつけたいのが「採用に力を入れている会社は、自身をより良く見せようとしている可能性がある」ということ。だから採用活動中だけの姿を見て会社を判断するのは時期尚早かもしれません。


「人」を見るなら社長を見るべし

「人」という点で言うと、社長を見ることをおすすめします。社長の考え方は社風にあらわれます。社長の考え方についていけるかどうか、共感できるかどうか、そして自分と合うかどうか。大企業と比べ人数が少なく社長と近い位置で仕事をしているベンチャー企業は、社員の入れ替わりはあっても、社長の考え方や企業の理念は、よほどのことがない限り変わりません。企業のビジョンと自分の仕事に対する軸が同じ方向を向いているか、社風が合うかどうかを判断するには、まず社長を見るのが良いでしょう。

 

        

  ベンチャー企業を見極めるときの注意点まとめ

①    「新規事業」「裁量権」は判断基準にしないほうが良い
②     給料は初任給ではなく数年後の年収に注目する
③     人で選ぶなら、社員ではなく社長との相性を見る
④     自分がやりたいこと(=will)、就活の軸をしっかり理解する  

 

就活は、とにかく楽しんでほしい

いずれの場合も必ず言えることは、「自分がやりたいこと」が本当にその企業でできるかどうか、という点に注目をするべきであるということ。ベンチャー企業とひとくくりに言っても、さまざまな企業があります。甘い言葉に惑わされずに、その企業が自身の就活の軸に本当に合っているかどうかを今一度考えてみましょう。

最後に、私が学生の皆さんと話をする際に必ず伝えていることが2つあるので、ここでも少しお話しします。まずひとつは、「就活をとにかく楽しんでほしい」ということ。就活は一生に一度しか経験できません。全業界を無差別に見ることがきるのは、新卒のときだけです。一度社会に出てしまうと、転職をする場合も「業界経験者」であることが求められるため、他業界への転職は難易度が高まります。大変な時期ではありますが、いろんな切り口で企業を見ながらぜひ楽しんで取り組んでほしいと思っています。

もうひとつは、「市場価値の高い人になってほしい」ということ。会社の規模や年収の高さは、必ずしもその人の市場価値とイコールではありません。時流から取り残されず、その時その時に市場で必要とされる価値の高い人を目指して頑張ってください。